▼第4試合 東京花鳥風月練習生・川島真織デビュー査定マッチ5分1本勝負
△清水基嗣(SECRET BASE)(時間切れ引き分け)東京花鳥風月練習生・川島真織△
女子プロレスではよく見かける、十代でのプロレスラーデビューですが、男子のほうとなると、私の乏しい知識では記憶になく、ぱっと出てくるのは中嶋勝彦選手くらい。私が花鳥風月を見るようになった頃には、既に練習生だった彼は、かなり長い期間、エキシビションマッチという蓋に押さえつけられてきたことになります。見るたびにからだも仕上がってきて、本当ならすぐにでも査定マッチが組まれてもおかしくないよなあと感じていましたが、そこはやはり、度々起こってしまう事故を懸念したのでしょうか。
例えば柔道。初段を取得した人間であっても、投げられて脊髄、頸椎をやってしまい、日常生活を送るうえで深刻な支障を抱えることになった人がどれだけいるか――。
日本のプロレスは、一時期よりは危険な技を軽々に使用しない傾向にはあるものの、半端な受け身しか取れないようではすぐに壊れてしまうし、最悪の場合、命を失うことだって、ないとは言い切れないのです。そしてそうなってしまったら、周囲にもたらす有形無形のマイナス効果は計り知れません。
「最年少の若手」という肩書きは、リングに活気を生みます。
そんな喉から手が出る起爆剤の投入を我慢し続け、花鳥風月は彼がプロレスラーとして必要な諸々を学び、鍛え上げるのを待っていたのかもしれません。直前のマッチョ選手とのエキシビションマッチは、まさに潮が満ちたことを感じさせるものがありました。
査定試合の対戦相手は、清水基嗣選手。
花鳥風月とは何かと関わりの深い、プロレス秘密基地『SECRET BASE』の代表。
組み合わせを見た時、厳しいなあと思いました。
懐の深いベテランではありますが、まだまだ尖った、勢いのあるファイトが持ち味の選手です。
しかも会場は、いつもの王子を離れたヒューリックホール。加えて査定試合の審判の一人は、もう絶対辛口間違いなしじゃん的な、鈴木秀樹選手と来たもんです。
(また、結果発表時に明かされたことですが、親御さんも会場で見守っていたとか)
案の定、いつもより動きが固く、もし私が今回だけの一見さんであったなら、合格票を投じていたかどうか。
ですが川島真織の、これまでのプロレスに向き合う姿勢を見てきた私としては、やっぱり早く一歩を踏み出してほしかったわけで。
本当、いいプロレスラーになってもらいたいな、と。
▼第5試合 ウルトラマンロビンデビュー25周年記念30分1ヒーローショー
○ウルトラマンロビン(SGP名古屋花鳥風月)&宇宙銀河戦士アンドロス(13分48秒ダイビングボディアタック→片エビ固め)清水基嗣(SECRET BASE)&●神楽(666)
赤と青の共演!
飄々とした佇まいの、しかし似て非なる二人のウルトラ系レスラー。
例によって宇宙選手がマイクで前説を始め、その隙をついて清水選手と神楽選手が勝手に試合をスタートさせてしまう流れ。
清水選手は間髪入れずダブルヘッダーとなりましたが、さすがのファイトを見せてくれました。
▼第6試合 シングルマッチ30分1本勝負
○新井健一郎(DRAGON GATE)(7分8秒 ジャンピングパイルドライバー→体固め)江利川祐(東京花鳥風月)●
役者の違いに唸らされる内容となりました。まさにアラケン劇場。
試合前のマイクアピール、江利川選手を煽る一方で、この試合がどういうものなのかを、初見さんには分かりやすく、そして常連には改めて説明しているのです。んで、それがまた、いちいち納得せざるを得ないという! 新井選手のプロ意識は本当に素晴らしいと思います。プロレスラーとしてのレベルの違いは明確なれど、だからといって自分本位なファイトに終始することなく江利川選手と向き合い、試合をつくっていくのです。
そして「ここまで」と見切りをつけるや否や、ギアを上げて一気に引き離し、ゴールする。
デビュー戦に比べれば、江利川選手は強くなりました。しかしまだ、新井選手と競り合うまでには至っていません。気持ちは負けてないにしても、技の一つ一つの練度が浅く、何より試合を展開させる主導権を取れずにいることが、見ていてもどかしく感じてしまいます。
課題は見えているわけで、あとはもう、江利川選手の努力次第。がんばってほしいです。
▼第7試合 タッグマッチ3分1本勝負
「ハットトリック」服部健太(東京花鳥風月)&○三尾祥久(東京花鳥風月)withスペシャルゲスト山本淳一(元光GENJI)(12分16秒 ダイビングボディプレス)ウルフ・スター☆&●スペースレッド(666)
歌謡ショー始まった!
当時の光GENJIの凄さを知るだけに、「どういうつながりからの出演なんだろう」という疑問だけが先行していたのですが、歌とプロレスの線引きをしてくれていて、安心できました。
一方で今回、初めて見ることになったウルフ・スター選手なのですが、正直よくわからない選手だーという印象で、これは現在も変わっていません。どういう選手で、どんな背景を持っているのか……。わざわざ自己紹介みたいなことをする必要はないのですが、入場時に配布されるチラシなどにでも経歴が書かれているといいなーとかとか。
試合はハットトリックが持ち味を発揮して快勝。いやはや、こちらの赤と青は実に鮮やかな連携を決めてくれました!
2015年7月15日水曜日
2015年6月27日土曜日
花鳥風月05/30(前)
2015年5月30日、浅草橋ヒューリックホールで開催された、シアタープロレス花鳥風月の三周年記念興行を観戦した。
平時は王子小劇場、王子神谷バビロンと、北区を中心に活動している小さなプロレス団体で、紆余曲折あったと聞いているが、縁あって私が見始めた頃は所属選手の少ない事情から、毎回他団体の、あるいはフリーの選手を招いてカードをやりくりしていたような状況にあったと思う。それでもそこには間違いなく熱があり、私は強く惹きつけられた。
そして迎えた記念興行。ヒューリックホールは浅草橋駅から近く、見た目にも華やかな場所だった。
ロビーも広く、物販スペースも余裕があった。何よりキレイだ。それは扉の向こうの会場も同様で、VIP席(?)は一段高いおそらく壇上となる位置にあり、中央にリングを置いても多分300人までは入れられそうだった。しかしどうやら公式ブログ等での話では、搬入口が手狭なようで、プロレス会場として利用するにあたっては、そこを解決する必要があるとかないとか。難しいものです。
※以下の試合結果は公式サイトより転記
▼第1試合 花鳥風月総合格闘技「月闘~Getto~」15分1ラウンド
中川達彦(王子キツネ空手軍)&○たけむら光一(王子キツネ空手軍)(2R 4分49秒 浴びせ蹴り→体固め)松本崇寿(鎌倉花鳥風月)&●HAMATANI(リバーサルジム横浜グランドスラム)
試合は松本HAMATANI組が蹴り技を捕まえ、寝技に持ちこもうとするも、そこを抜けられ――という展開となり、HAMATANI選手が強烈な一撃をくらい決着となりました。
勝ったたけむら選手は、月闘トーナメント覇者である松本選手とのシングルマッチを所望しているようでした。
▼第2試合 花鳥風月総合格闘技「月闘~Getto~」3分3ラウンド
○焙煎たがい。(西口プロレス)(2R 1分34秒 アキレス腱固め)●篠宮敏久(リバーサルジム横浜グランドスラム)
愉快な焙煎選手と、寝技師である篠宮選手の対決は、ジャイアントスイングを繰り出すなど盛り上がったのですが、決着は金的攻撃をアキレス腱固めで隠蔽する巧妙な反則という、何とも煮え切らないものに。
▼第3試合 タッグマッチ30分1本勝負
●瓦井寿也(東京花鳥風月)&ソンナーニ・ミチャイ・ヤーンwith漁師マスク(11分26秒 バックドロップ→エビ固め)○ジ・ウインガー(FREEDOMS)&マッチョ・マイケルズ
謎の修行の結果、河童の化身になって登場した瓦井選手と、同じく謎の外国人選手にして、驚異の肉体のヤーン選手。
対するは安心の常連ウインガー選手と、みんな大好きマッチョ選手。
瓦井選手は修行の成果か、以前にシングルでも惜敗しているウインガー選手相手に食い下がりましたが、最後はバックドロップをくらいフォール負け。しかしヤーン選手のムーンサルトは、会場にどよめきが走りました。
大会後、以前に日本でも活動していたプロレスラーと判明。流暢な日本語はその時におぼえたものなのでしょうか?
平時は王子小劇場、王子神谷バビロンと、北区を中心に活動している小さなプロレス団体で、紆余曲折あったと聞いているが、縁あって私が見始めた頃は所属選手の少ない事情から、毎回他団体の、あるいはフリーの選手を招いてカードをやりくりしていたような状況にあったと思う。それでもそこには間違いなく熱があり、私は強く惹きつけられた。
そして迎えた記念興行。ヒューリックホールは浅草橋駅から近く、見た目にも華やかな場所だった。
ロビーも広く、物販スペースも余裕があった。何よりキレイだ。それは扉の向こうの会場も同様で、VIP席(?)は一段高いおそらく壇上となる位置にあり、中央にリングを置いても多分300人までは入れられそうだった。しかしどうやら公式ブログ等での話では、搬入口が手狭なようで、プロレス会場として利用するにあたっては、そこを解決する必要があるとかないとか。難しいものです。
※以下の試合結果は公式サイトより転記
▼第1試合 花鳥風月総合格闘技「月闘~Getto~」15分1ラウンド
中川達彦(王子キツネ空手軍)&○たけむら光一(王子キツネ空手軍)(2R 4分49秒 浴びせ蹴り→体固め)松本崇寿(鎌倉花鳥風月)&●HAMATANI(リバーサルジム横浜グランドスラム)
お馴染み王子キツネ空手軍! たけむら選手は直近の「巌流島」でも注目された選手。一方の中川選手は、前回の「月闘」でのムエタイマシン選手との遺恨試合が印象に残る空手家です。
対する実力者・松本選手と、カポエラに寝技と多彩なスキルを持つHAMATANI選手。中川選手の威圧にも動じません。試合は松本HAMATANI組が蹴り技を捕まえ、寝技に持ちこもうとするも、そこを抜けられ――という展開となり、HAMATANI選手が強烈な一撃をくらい決着となりました。
勝ったたけむら選手は、月闘トーナメント覇者である松本選手とのシングルマッチを所望しているようでした。
▼第2試合 花鳥風月総合格闘技「月闘~Getto~」3分3ラウンド
○焙煎たがい。(西口プロレス)(2R 1分34秒 アキレス腱固め)●篠宮敏久(リバーサルジム横浜グランドスラム)
愉快な焙煎選手と、寝技師である篠宮選手の対決は、ジャイアントスイングを繰り出すなど盛り上がったのですが、決着は金的攻撃をアキレス腱固めで隠蔽する巧妙な反則という、何とも煮え切らないものに。
▼第3試合 タッグマッチ30分1本勝負
●瓦井寿也(東京花鳥風月)&ソンナーニ・ミチャイ・ヤーンwith漁師マスク(11分26秒 バックドロップ→エビ固め)○ジ・ウインガー(FREEDOMS)&マッチョ・マイケルズ
謎の修行の結果、河童の化身になって登場した瓦井選手と、同じく謎の外国人選手にして、驚異の肉体のヤーン選手。
対するは安心の常連ウインガー選手と、みんな大好きマッチョ選手。
瓦井選手は修行の成果か、以前にシングルでも惜敗しているウインガー選手相手に食い下がりましたが、最後はバックドロップをくらいフォール負け。しかしヤーン選手のムーンサルトは、会場にどよめきが走りました。
大会後、以前に日本でも活動していたプロレスラーと判明。流暢な日本語はその時におぼえたものなのでしょうか?
2015年6月18日木曜日
SRC(SRCシナリオ感想)
ドラグーンエイジ・第4話
オリジナルロボットシナリオ。異界へ突入して戦闘! な回。新ヒロインも登場しましたが、私の選んだルートではそれほど主人公と絡まず戦闘クリア後は即インターミッションへ。作者さんの得意とする省エネ手法ではあるのてすが、エピローグにもうワンクッションやりとりがあれば良かったかなあと。
■重箱の隅
キョウヘイ「後猿猿馬鹿にするののいい加減にしろや!」 → するのも、かな。
オリジナルロボットシナリオ。異界へ突入して戦闘! な回。新ヒロインも登場しましたが、私の選んだルートではそれほど主人公と絡まず戦闘クリア後は即インターミッションへ。作者さんの得意とする省エネ手法ではあるのてすが、エピローグにもうワンクッションやりとりがあれば良かったかなあと。
■重箱の隅
キョウヘイ「後猿猿馬鹿にするののいい加減にしろや!」 → するのも、かな。
2015年5月16日土曜日
花鳥風月04/18・夜
昼の「月闘」が終わり、会場を出たところに、夜の試合を控えたドラゴン・ユウキ選手がマスクをつけたままで立ち話をしていた。
それだけに留まらず、気がつくと道路の向こう側から政宗選手が、その反対側からは新井健一郎選手がカートを引いてやってくるではないか。
おそらく、バビロンの出入口が一箇所しかないから、というオチなのであろう。――に、してもこの、観客と選手の距離の近さはインディー団体特有のものであり、そこに惹かれるお客さんも多いんだろうなーと思ったりもするわけで。まして東京花鳥風月は特殊な形態も備えており、所属選手との距離は一層近いのではという印象を受ける。こういう場合、私のように一線を引いて応援したい客としては、どのようにしたらいいのかわからず、もうただただ敬意を払うくらいしかなく、ちょっと困ってしまう。
夜の部が始まるまでは少しの間があったので、王子神谷の駅前で食事などを取り休憩後、再びバビロンへ。前説の後、エキシビションマッチが幕を開けた。
■マッチョ・マイケルズvs川島真織
将来を期待されている真織練習生の相手は、人気者のマッチョ選手だ。今回は見てる誰もが分かりやすいハードルを真織練習生に突きつけてきた。
それはシャツを着たまま試合に臨むこと。つまり「脱がしてみろ」ということだ。やはり発奮したのだろう、やられっぱなしでは終わらず、意地を見せ、得意技にすべく磨いている三角飛びのようなスイング式DDTもキメて、マッチョ選手からシャツを脱がせるに至らせた。何よりスリーカウントを奪われず、ギブアップもしなかったことで、成長を示せたことが大きい。からだもずいぶんと出来上がってきたように思う。マッチョ選手も肌で感じ、ついに審議の後、五月の大会で査定試合が決定! いろんな団体に呼ばれて試合をこなしている服部選手に付いていき、そこで用務をこなすなか、きっと「早く自分も一人前としてリングに立ちたい」との思いは募らせていた筈。その熱い丈がどれほどのものか、査定試合で見せてほしい。
■ドラゴン・ユウキvs瓦井寿也
スタイルは純プロレスながら、ハードヒットや月闘など、格闘の強さを指向する場にも躊躇せず出ていき経験を積もうとする瓦井選手と、ルチャ系のマスクマンなるも巨躯を生かしたパワーファイターというドラゴン・ユウキ選手。若い瓦井選手の動きを往なしつつ、髪の毛いじりで精神的ダメージを与えたかと思えば、からだを捻りながらのライジング式エルボーといった、ハッとするような凄い技を繰り出すなど、さすがの試合運びを見せてくれました。しかし今回は瓦井選手もかなり粘って、気持ちが伝わりました。次こそ勝利!
■マッチョ・マイケルズvs江利川祐
いつもの、倒れた相手の足を絡め、ポージングしてから倒れこみダメージを与える技に加え、新たにお姫様抱っこからのバックブリーカーを披露したマッチョ選手。自分のキャラの見せかたを心得ているなあと。江利川選手は以前のように成すすべなく攻めこまれるだけで終わらず、技が出てくるようになりましたね。それでも最後のエースクラッシャーは偶然要素が強かったような……? でもまあ、勝ちは勝ち! 初勝利に新井健一郎選手も祝福を! と思ったら、やはり手のひら返しの痛めつけに転じるお約束。だが江利川選手は逆襲して泡を食わせリングから追い払うと、五月の大会での再戦を要求。これは承諾され、江利川選手にとっては避けて通れぬ複雑な感情の詰まったカードが決定しました。
■梅沢菊次郎&HAMATANIvs塚本拓海&ジョシュ・オブライエン
以前より花鳥風月にスポット参戦している大日本出身の塚本選手は、この試合でも「大日魂」のリストバンドを着けてファイトに臨んでおり、ジョシュ選手と並び立つとスティッフな印象を受けます。
対する梅沢&HAMATANI組は、過剰なハッスルをしがちな梅沢選手と、「ああ、プロレスが好きなんだな」ということが伝わってくる、まだ不慣れながらもカポエイラとMMAを独自にアレンジしたスタイルのHAMATANI選手という異色のコンビであり、果たしてどうなるのかなと思っていましたが、応援のつもりなのか、コーナーに立つ梅沢選手はファイト中のHAMATANI選手に向けて何度も呪文めいた口調で「ハ~マ~タ~ニィ~」と連呼。これは私だけでなく、大会が終わって帰宅した後、自分で呟いてみたりしたお客さんもいるのではないかなと。すっかり伝染してしまいました。その梅沢選手、相手二人をいっぺんに担ぎ上げる荒々しい投げ技を見せるなどし奮闘しましたが、HAMATANI選手がつかまり塚本&ジョシュ組の勝利となりました。HAMATANI選手、短期間に花鳥風月のリングで経験を積んで、感触も掴めてきたのではないでしょうか。もしかすると次は金星あるかも?
■服部健太&三尾祥久vs神楽&スペースレッド
こちらは前大会と同じ組み合わせのカードとなりました。奇しくもそこで「ハットトリック」誕生となったわけですが、今回は対戦相手である神楽選手とスペースレッド選手のコンビにも名称が冠せられました。その名も「オウンゴール」! こちらは罰ゲーム的な意味合いが強いので、彼らが今後これを名乗るかは微妙なところです。試合は三尾選手のしなやかなバネからのキレる飛び技、服部選手が得意とするジャーマンなどで勝利するも、オウンゴール組も前回の雪辱とばかり入場曲で張り合ったり、一方的な展開にはさせじと奮闘してくれました。
■勝村周一朗&政宗vs新井健一郎&ジ・ウインガー
そして、大会が終わってかなり経つも尚、強く印象を残しているメインの試合となるわけです。
前回、シングルで激突した後、勝村選手からの共闘の誘いを「近くで観察して弱点を見つける」との理由で承諾した政宗選手。今回コンビを組んで闘う相手は、いきなり強敵――新井健一郎選手とジ・ウインガー選手の曲者コンビです。政宗選手にとっては、これまで花鳥風月のリングで共にタッグを組んだりセコンドについたりして、経験の少ない所属選手にダメ出しをしてきた、いわば仲間との戦い。いかにもやりにくそうでしたし、新井選手はここぞとばかり「政宗ちゃ~ん」と弄りにかかってきます。
勿論、そういう声には耳を貸さず、きちんとファイトをしてみせる政宗選手でしたが、さすがに経験豊富な両者を突き崩すまでには至りません。ウインガー選手にしても、様々な団体のリングに上がり、対戦相手、組む相手、会場の雰囲気にまで気を配り試合をつくれるプロレスラーです。相手が勝村選手と政宗選手であれば、それに対抗できるモードで応戦してきます。一方、勝村選手は昼の試合で痛めた肘を狙われ、思うように圧倒できず、苦しい展開となってしまいました。
イライラが募ってしまったのか、勝村選手はトリガーとなる言葉を放ってしまいます。
「なにやってんスか、政宗さん!」
突き飛ばしてしまったのかまでは確認できなかったのですが、一方的に「不甲斐ない」といった烙印をパートナーに押されてしまった政宗選手はプライドを傷つけられ、リングを降りてしまいます。それどころか、もう帰るとばかり、会場から出て行こうとも。これは寸でのところで花鳥風月代表の説得により回避できましたが、しばらく政宗選手は傍観モード。二対一では勝村選手といえどどうしようもなく、負傷箇所を攻められ、このままでは……というところで政宗選手が救援に入り、新井選手を抑えた好機を逃さず、ウインガー選手に必殺のニンジャチョークをキメ、どうにか勝利を収めました。ここ最近の勝村選手は、フィニッシュを飛びつき三角締めからニンジャチョークに移行させていますが、これは当然、次の大会の相手である鈴木選手も警戒してくる筈。過去、同じ大型プロレスラーの高山善廣選手に黒星をつけられている勝村選手にとって、次回は絶対に負けられない戦いとなるでしょう。
リング上では試合を終えた選手同士が対峙し、投げ込まれたマイクを取り――(以下うろ覚え)
アラケン「勝村さんよ、この試合、一から十まですべて、俺と、ウインガーと、政宗ちゃんの掌の上だったのかもよ?」
政宗「勝村さん、いやおい勝村! 俺はな、別にあんたと好きで組んでるわけじゃねーんだ。そこ履き違えんな! また組んでやるよ」
勝村「政宗さん、いや政宗。敵だか味方だかわかんないけど、あんたと組んでると楽しいよ。次も組もうよ」→ 互いにビンタを交換
この後、花鳥風月所属メンバー総リングインで〆となったのですが、メイン後の緊張感漂う雰囲気が後々まで尾を引くことになりました。しかし新井選手の振る舞いにはやはり痺れます。他所の団体ではヒール軍団の頭として抗争を牽引し、また別な団体ではストーリーに絡まず自由に飄々とファイトを楽しむ。そして花鳥風月では若い選手たちのケツを叩き、辛辣にこき下ろす一方、旧知の江利川選手に対してはデビュー戦の相手を引き受けるという情を見せるのです。
「プロレスとは、点と点をつなげ、線にしていくもの」
たびたび口にするこのフレーズは、この世界で長年やってきた新井選手の、揺るぎない哲学なのでしょう。
次の大会の、誰もが期待する大一番。
突如として花鳥風月に現れ、服部選手にダメ出しをし、ジョシュ選手と梅沢選手をマットに沈めた鈴木秀樹選手。
まさしく点と点が結びついた、必然の決着戦といえるでしょう。楽しみです。
それだけに留まらず、気がつくと道路の向こう側から政宗選手が、その反対側からは新井健一郎選手がカートを引いてやってくるではないか。
おそらく、バビロンの出入口が一箇所しかないから、というオチなのであろう。――に、してもこの、観客と選手の距離の近さはインディー団体特有のものであり、そこに惹かれるお客さんも多いんだろうなーと思ったりもするわけで。まして東京花鳥風月は特殊な形態も備えており、所属選手との距離は一層近いのではという印象を受ける。こういう場合、私のように一線を引いて応援したい客としては、どのようにしたらいいのかわからず、もうただただ敬意を払うくらいしかなく、ちょっと困ってしまう。
夜の部が始まるまでは少しの間があったので、王子神谷の駅前で食事などを取り休憩後、再びバビロンへ。前説の後、エキシビションマッチが幕を開けた。
■マッチョ・マイケルズvs川島真織
将来を期待されている真織練習生の相手は、人気者のマッチョ選手だ。今回は見てる誰もが分かりやすいハードルを真織練習生に突きつけてきた。
それはシャツを着たまま試合に臨むこと。つまり「脱がしてみろ」ということだ。やはり発奮したのだろう、やられっぱなしでは終わらず、意地を見せ、得意技にすべく磨いている三角飛びのようなスイング式DDTもキメて、マッチョ選手からシャツを脱がせるに至らせた。何よりスリーカウントを奪われず、ギブアップもしなかったことで、成長を示せたことが大きい。からだもずいぶんと出来上がってきたように思う。マッチョ選手も肌で感じ、ついに審議の後、五月の大会で査定試合が決定! いろんな団体に呼ばれて試合をこなしている服部選手に付いていき、そこで用務をこなすなか、きっと「早く自分も一人前としてリングに立ちたい」との思いは募らせていた筈。その熱い丈がどれほどのものか、査定試合で見せてほしい。
■ドラゴン・ユウキvs瓦井寿也
スタイルは純プロレスながら、ハードヒットや月闘など、格闘の強さを指向する場にも躊躇せず出ていき経験を積もうとする瓦井選手と、ルチャ系のマスクマンなるも巨躯を生かしたパワーファイターというドラゴン・ユウキ選手。若い瓦井選手の動きを往なしつつ、髪の毛いじりで精神的ダメージを与えたかと思えば、からだを捻りながらのライジング式エルボーといった、ハッとするような凄い技を繰り出すなど、さすがの試合運びを見せてくれました。しかし今回は瓦井選手もかなり粘って、気持ちが伝わりました。次こそ勝利!
■マッチョ・マイケルズvs江利川祐
いつもの、倒れた相手の足を絡め、ポージングしてから倒れこみダメージを与える技に加え、新たにお姫様抱っこからのバックブリーカーを披露したマッチョ選手。自分のキャラの見せかたを心得ているなあと。江利川選手は以前のように成すすべなく攻めこまれるだけで終わらず、技が出てくるようになりましたね。それでも最後のエースクラッシャーは偶然要素が強かったような……? でもまあ、勝ちは勝ち! 初勝利に新井健一郎選手も祝福を! と思ったら、やはり手のひら返しの痛めつけに転じるお約束。だが江利川選手は逆襲して泡を食わせリングから追い払うと、五月の大会での再戦を要求。これは承諾され、江利川選手にとっては避けて通れぬ複雑な感情の詰まったカードが決定しました。
■梅沢菊次郎&HAMATANIvs塚本拓海&ジョシュ・オブライエン
以前より花鳥風月にスポット参戦している大日本出身の塚本選手は、この試合でも「大日魂」のリストバンドを着けてファイトに臨んでおり、ジョシュ選手と並び立つとスティッフな印象を受けます。
対する梅沢&HAMATANI組は、過剰なハッスルをしがちな梅沢選手と、「ああ、プロレスが好きなんだな」ということが伝わってくる、まだ不慣れながらもカポエイラとMMAを独自にアレンジしたスタイルのHAMATANI選手という異色のコンビであり、果たしてどうなるのかなと思っていましたが、応援のつもりなのか、コーナーに立つ梅沢選手はファイト中のHAMATANI選手に向けて何度も呪文めいた口調で「ハ~マ~タ~ニィ~」と連呼。これは私だけでなく、大会が終わって帰宅した後、自分で呟いてみたりしたお客さんもいるのではないかなと。すっかり伝染してしまいました。その梅沢選手、相手二人をいっぺんに担ぎ上げる荒々しい投げ技を見せるなどし奮闘しましたが、HAMATANI選手がつかまり塚本&ジョシュ組の勝利となりました。HAMATANI選手、短期間に花鳥風月のリングで経験を積んで、感触も掴めてきたのではないでしょうか。もしかすると次は金星あるかも?
■服部健太&三尾祥久vs神楽&スペースレッド
こちらは前大会と同じ組み合わせのカードとなりました。奇しくもそこで「ハットトリック」誕生となったわけですが、今回は対戦相手である神楽選手とスペースレッド選手のコンビにも名称が冠せられました。その名も「オウンゴール」! こちらは罰ゲーム的な意味合いが強いので、彼らが今後これを名乗るかは微妙なところです。試合は三尾選手のしなやかなバネからのキレる飛び技、服部選手が得意とするジャーマンなどで勝利するも、オウンゴール組も前回の雪辱とばかり入場曲で張り合ったり、一方的な展開にはさせじと奮闘してくれました。
■勝村周一朗&政宗vs新井健一郎&ジ・ウインガー
そして、大会が終わってかなり経つも尚、強く印象を残しているメインの試合となるわけです。
前回、シングルで激突した後、勝村選手からの共闘の誘いを「近くで観察して弱点を見つける」との理由で承諾した政宗選手。今回コンビを組んで闘う相手は、いきなり強敵――新井健一郎選手とジ・ウインガー選手の曲者コンビです。政宗選手にとっては、これまで花鳥風月のリングで共にタッグを組んだりセコンドについたりして、経験の少ない所属選手にダメ出しをしてきた、いわば仲間との戦い。いかにもやりにくそうでしたし、新井選手はここぞとばかり「政宗ちゃ~ん」と弄りにかかってきます。
勿論、そういう声には耳を貸さず、きちんとファイトをしてみせる政宗選手でしたが、さすがに経験豊富な両者を突き崩すまでには至りません。ウインガー選手にしても、様々な団体のリングに上がり、対戦相手、組む相手、会場の雰囲気にまで気を配り試合をつくれるプロレスラーです。相手が勝村選手と政宗選手であれば、それに対抗できるモードで応戦してきます。一方、勝村選手は昼の試合で痛めた肘を狙われ、思うように圧倒できず、苦しい展開となってしまいました。
イライラが募ってしまったのか、勝村選手はトリガーとなる言葉を放ってしまいます。
「なにやってんスか、政宗さん!」
突き飛ばしてしまったのかまでは確認できなかったのですが、一方的に「不甲斐ない」といった烙印をパートナーに押されてしまった政宗選手はプライドを傷つけられ、リングを降りてしまいます。それどころか、もう帰るとばかり、会場から出て行こうとも。これは寸でのところで花鳥風月代表の説得により回避できましたが、しばらく政宗選手は傍観モード。二対一では勝村選手といえどどうしようもなく、負傷箇所を攻められ、このままでは……というところで政宗選手が救援に入り、新井選手を抑えた好機を逃さず、ウインガー選手に必殺のニンジャチョークをキメ、どうにか勝利を収めました。ここ最近の勝村選手は、フィニッシュを飛びつき三角締めからニンジャチョークに移行させていますが、これは当然、次の大会の相手である鈴木選手も警戒してくる筈。過去、同じ大型プロレスラーの高山善廣選手に黒星をつけられている勝村選手にとって、次回は絶対に負けられない戦いとなるでしょう。
リング上では試合を終えた選手同士が対峙し、投げ込まれたマイクを取り――(以下うろ覚え)
アラケン「勝村さんよ、この試合、一から十まですべて、俺と、ウインガーと、政宗ちゃんの掌の上だったのかもよ?」
政宗「勝村さん、いやおい勝村! 俺はな、別にあんたと好きで組んでるわけじゃねーんだ。そこ履き違えんな! また組んでやるよ」
勝村「政宗さん、いや政宗。敵だか味方だかわかんないけど、あんたと組んでると楽しいよ。次も組もうよ」→ 互いにビンタを交換
この後、花鳥風月所属メンバー総リングインで〆となったのですが、メイン後の緊張感漂う雰囲気が後々まで尾を引くことになりました。しかし新井選手の振る舞いにはやはり痺れます。他所の団体ではヒール軍団の頭として抗争を牽引し、また別な団体ではストーリーに絡まず自由に飄々とファイトを楽しむ。そして花鳥風月では若い選手たちのケツを叩き、辛辣にこき下ろす一方、旧知の江利川選手に対してはデビュー戦の相手を引き受けるという情を見せるのです。
「プロレスとは、点と点をつなげ、線にしていくもの」
たびたび口にするこのフレーズは、この世界で長年やってきた新井選手の、揺るぎない哲学なのでしょう。
次の大会の、誰もが期待する大一番。
突如として花鳥風月に現れ、服部選手にダメ出しをし、ジョシュ選手と梅沢選手をマットに沈めた鈴木秀樹選手。
まさしく点と点が結びついた、必然の決着戦といえるでしょう。楽しみです。
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