2015年2月21日土曜日

花鳥風月02/15・昼~決勝

□勝村周一朗vs山本裕次郎
決勝前にスペシャルマッチとして組まれた試合。言わずと知れた花鳥風月のエース勝村選手と、紆余曲折を経て再びリングに還ってきたプロレスラー・山本選手。
勝村選手は月闘ルールを、山本選手の技量を確かめるように臨んでいたこともあったのかもしれませんが、おそらく私が花鳥風月のリングで見てきた試合のなかでは、今回が最も苦戦していたように見えました。山本選手の負けん気と、溢れ出る闘志に感化されたのか、終盤は勝村選手もバチバチの打ち合いに応じたりしてハラハラしましたが、最後は隙を見逃さず、ギロチンチョークで勝利。
この試合(夜の政宗選手との初対決も含め)を振り返り、観客のことを忘れ、勝手に楽しんでファイトしてしまったことを告白し、「つまらなくなかったですか?」旨の問いかけもされていましたが、少な
くとも自分はとても楽しめました。ただ、これはじりじりとしたグラウンドの攻防などに集中できる、UWFやPRIDE、UFCなんかを見てきた層は除外した、子供や一般のオトナ層のお客さんに向けてのものだと思うので、それを踏まえると直後に乱入してきた高岩――じゃなくてブラックタイガー選手の、「しょっぱい試合しやがって」とのイチャモンにも、理が生じるのかな。ここには来ないでほしかった的な、勝村選手のマイクアピールは楽しめました。

□松本崇寿vs篠宮敏久
決勝戦はグラップラー対決。とはいえ両者、スタイルは似て非なるもので、それも単純に柔や剛といった区分けのできないような、ほんとどう説明していいか困るような動きの違いが印象に残っています。どちらもグラウンドの技術に長け、強いのですが、篠宮選手が王手をじわりと詰めていくタイプだとすれば、松本選手はストレートに詰めに行くタイプ……なのかな? 共にトリッキーな切り返しかたを見せてくれたのですが、何となく、そんなことを思ったり。
ここまで二試合を経てのダメージ量は松本選手のほうが上で、もし篠宮選手が打撃をメインに追い込めば、あるいは勝機はあったのかもしれませんが、生憎と篠宮選手はグローブもレガースも無しの完全組技仕様。決着は必然、絞め技・関節技となるわけで、だから松本選手もそこに集中して闘えていたのかなと。最後はグラウンドに持ち込んでのフェースロックに見えましたが、そこに至るまでの流れは鮮やかの一言。
鎌倉花鳥風月所属のファイターとして義務付けられていたであろう優勝を果たした松本選手、高い技術を披露して、大会のレベルを引き上げてくれた篠宮選手、共に素晴らしかったです。
格闘技バブルが弾け、総合格闘技の選手はUFCに出られるような一握り以外はカネにならないのが現状です。きつい練習をこなし、優れた技術を修得するに至っても、それを存分に使える場は限られており、また競合する団体間のアレやコレな厄介事も絡み、面倒くさいことこの上ありません。
それでも戦いたい人はいる。リングの上で試合をしてみたい、させるに値するレベルに至った者がいる。ならばと勝村選手が自分の築いたキャリア、花鳥風月所属のエースという地位、修斗との関係も深い格闘技ジムを主宰している力を駆使し、働きかけ続けた、そのひとまず現在のカタチがこの「月闘」なのではと勝手に考え、後進のために場をつくるとか凄えなあと勝手に考えた午後の昼下がりでありました。

2015年2月18日水曜日

花鳥風月02/15・昼~準決勝

□松本崇寿vs中川達彦
トーナメントを振り返ってみれば、キツイ相手とばかり対戦したなあという印象の強かった松本選手。マスクマンでカポエラムーブが売りのHAMATANI選手からして、総合格闘技の下地がありそうな感じでしたし、準決勝の相手である中川選手は、隠すことすらしないストレートな空手家です。タックルに入りたい松本選手と、その間合いから追い出さんとするかのごとく、蹴りと突きで攻めたてる中川選手。

芯を外して効かせないようにしていたのかもしれませんが、これまた結構な打撃をもらっていた松本選手は、ダウンも奪われ苦しい展開。

ストライカーからしてみれば、タックルへの対処はまず重点的に練習してくるところで、またグラップラーとしても、入りさえすればイージーモードになるとはいえ、一歩間違えれば被弾して形勢逆転というのは、過去に何度も見てきた光景で、なかなか飛び込んでいけるものではありません。月闘ルールはグラウンドの打撃は無しにしていますから、パウンド有りのルールと比べれば、一か八かで冒険に出ることの踏ん切りはつけやすいかもですが。個人的な意見ですが、柔道やレスリングの選手に間口を広げ、怪我や後遺症といった諸々を考慮しても、月闘のグラウンド時の打撃無しは賛成です。
で、タックルに入れないならどうするか。松本選手が選択したのは引き込んでの関節技でした。

「タックルを切る技術」は昨今、広く知られ、打撃を得意とする格闘家なら必修項目のようになっていますが、その一方で、不意にこの引き込み技を仕掛けられると、あっさりとハマッてしまうことが多いような気がしたりしなかったり。膝十字は辛くも逃れるも、引き込んでからの腕十字に捕まり、中川選手ついにタップ。

□篠宮敏久vs五代目ブラックタイガー
再び登場ブラックタイガー選手。対するはテクニシャンの篠宮選手。篠宮選手の経歴は全く知りませんが、格闘家というよりは普通のお兄さんといった容貌で、からだもシュッとしている。だのにリング上では妙な凄味があるという、とても魅力のある選手ですね。ブラックタイガー選手は今回も場違い上等でプロレスを貫いていました。

体重差を利して攻め込んだり、寝技にちょっと付き合ったり。しかし決着は、堂々とルール違反の金的を敢行し、反則負け。なんつーか、篠宮選手としては納得いかないでしょうが、これはもう、しようがないとしか!

花鳥風月02/15・昼~1回戦

□松本崇寿vsHAMATANI
カポエラ使いのマスクマン、HAMATANI選手と対するは、前回より鎌倉花鳥風月所属となった松本選手。


トリッキーではあるものの、カポエラの蹴りは隙も多く、タックルのいい餌食となってしまうというわけで、HAMATANI選手はパワー系のローキックを主体に戦っていました。松本選手、このローを結構くらい、更には仕掛けた三角締めを強引に持ち上げられ、マットに叩きつけられるなど、危うい場面も多く見られましたが、最終的にはきっちりと腕十字をキメて勝利。HAMATANI選手、惜しかった。


□中川達彦vs瓦井寿也
会場にも教え子が応援に来ていた、地元の空手の先生である中川選手と、東京花鳥風月の正戦士である瓦井選手。
 

ベテラン格闘家と、若いプロレスラーの対決。中川選手は年齢もあって、持久戦に持ち込めばあるいは……とか楽観していましたが、リングでの試合経験もある中川選手のハイキック一閃で決着。経験値の差がそのまま結果に出たといったところでしょうか。しかしながら、おそらくこれといったバックボーンを持たない瓦井選手が、こうした場に物怖じせず打って出ていく姿勢は素晴らしいなあと。勝村選手が口にした、「やっぱりプロレスラーは強くあるべき」という志は、負けを恐れることではなく、鍛えた技を試し合って磨き、自身のプロレスに取り入れ、向上していく意思があってこそ、遂げられるものだと思うのです。

□篠宮敏久vsたけむら光一
たけむら選手は以前に観に行ったHEAT-UPの試合で、上記の中川選手とバチバチの激しい同門対決を行い、勝利しています。

この試合においても他の選手とは一線を画する突き・蹴りを放っていました。のらりくらりとかわしていた篠宮選手をコーナーに追いつめ、連打から締めに繰り出した、アッパー気味に刺さる後ろ廻し蹴りの威力は抜群の一言。しかし再度使用した際に、この蹴りを誤爆させてしまい、その威力があだとなって足を負傷してしまうことに。

篠宮選手はこの機を逃さずグラウンドに持ち込み、膝十字固めをキメて勝利。たけむら選手の負傷がなければ、どちらに転んでもおかしくありませんでした。
ちなみにラウンドガールならぬラウンド江利川さんが。掲げているのは……。


□五代目ブラックタイガーvs焙煎たがい
謎の覆面レスラーと、まるでガリガリくんを思わせる容姿の、ひょうきんなレスラー焙煎たがい選手の対決は、これまでの流れとは異なり、プロレス色の濃ゆいものとなりました。主にブラックタイガー選手のせいで。

度々のレフェリーへの謎のアピールや、ルールなんかおぼえらんねーよと云わんばかりのアクション、結局は外しちゃうグローブと、まあその他いろいろ。決着もレフェリーの死角を衝いての金的で、弱った焙煎選手からスリーカウントを奪ってのものとあっては、そりゃ決勝前のマイクで勝村選手が嘆くわけですね。

2015年2月17日火曜日

花鳥風月02/15・昼

東京都北区を中心に活動する「シアタープロレス花鳥風月」今年二回目の興行に足を運んだ。
前回同様昼夜にわたる二部構成。まさしくシアターの名にふさわしく、マチネとソワレですね。
会場は王子神谷駅からちょっと歩いた住宅地の中に、ひっそりと居を構える小劇場。ぱっと見て、コーナーポストからのダイブ技なんかは厳しそうに思えるほど天井が低い。前回の王子小劇場よりも窮屈なハコ。

昼の部は総合格闘家として名を馳せた勝村周一朗選手が代表の鎌倉花鳥風月による、通常のプロレスとは趣を異にする「月闘」と題された、格闘技に歩み寄ったルールでのトーナメントが行われました。前回からの大きな変更点は、相手の両肩をマットに着けて1カウントでフォール負けとしていたのが、3カウントになっていたことくらいかな。前回はこれであっさりと決まってしまい、やや拍子抜けだった感があったので歓迎。また、選手入場の後、勝村選手が江利川選手、真織練習生をリングに上げ、目で見て分かるようにルールの説明をされていましたが、これも良かったように思えました。ルール説明のペーパーを会場入りした際に配って、更にもう一押しというわけですから。
 
 
このトーナメント、出場選手は前回の実験マッチにも参加した松本選手、HAMATANI選手、篠宮選手に加え、北区で地元のプロレス団体にも積極的に参戦している空手家の中川達彦選手、たけむら光一選手が名を連ね、東京花鳥風月からは瓦井選手、初めて見るプロレスラー(?)の焙煎たがい選手、謎の五代目ブラックタイガー選手という、なかなかにそそるメンツが揃っていました。
トーナメント表での最注目カードは、技巧派のグラップラー篠宮選手とストライカーたけむら選手の対決です。期待していました。

サプライズとしては、花鳥風月と同じく王子を拠点とするプロレス団体HEAT-UPに所属する山本裕次郎選手と勝村選手の、このルールにおけるシングルマッチが組まれていたこと。
ああ、以前にHEAT-UPのリング上で、試合開始前のデモンストレーションとして、一般人からしたら驚異的な回数の腕立て伏せ、スクワットをこなしていた山本選手の闘う姿が、ついに見られるのかと。
――そして、試合開始!